アパート・マンションなどの不動産賃貸経営をおこなっているオーナー様の多くは、少しでも多くの利益を上げたいと考えていることでしょう。勿論、利益を少しでも多く上げるにはコストのかからない自主管理が理想です。しかし、自主管理は時間と手間が非常にかかるのも事実です。本業が忙しく自主管理する時間がなかったり、そもそも知識がなく何をするか分からなかったりで、やむをえず管理業務を管理会社へ委託すること検討される方もいるでしょう。
しかし、一言に管理会社といっても各管理会社によって管理委託費や業務内容、強みや弱みが異なるため、どの管理会社を選ぶべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、管理会社の選び方や選ぶ際のポイントを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
利益を最大化させるには
大前提として、利益を最大化するということは、収入(家賃)を最大化 し、支出(経費)を最小化 することです。
上記を達成できない、また達成することを考えていないような管理会社は選ぶべきではありません。
上記を達成できるような管理会社の特徴を以下で解説していきます。
まず、管理会社に物件の管理を委託した場合には、主に以下の3つの業務をおこないます。
1.リーシング(入居者募集)マネジメント業務
2.ビルマネジメント(建物管理)業務
3.プロパティマネジメント業務
それぞれの業務内容の違いについて詳しく説明します。
1.リーシング(入居者募集)マネジメント
リーシング(入居者募集)マネジメントとは空室が発生した場合の入居者募集が主な業務内容です。本業務に付随する家賃の集金代行業務や契約・解約等の入居者管理業務等もこの業務に位置付けられています。
この業務で、収入(家賃)を最大化できるかの8割は決まリます。
それだけ、重要な業務なのです。
2.ビルマネジメント(建物管理)業務
建物管理業務とは、物件の清掃や設備の点検・修繕など、物件の資産価値が低下しないように建物の維持管理をおこなう業務です。
通常の維持管理は勿論、消防設備やエレベーター等の法定点検が必要な設備に関しては、法律に則り定期的に点検を行う必要があります。
違反した場合、罰金や是正勧告により余計な手間と費用がかかってしまいます。
これらを適正価格で、漏れなく提案できる管理会社でなければ、支出を削減し収益を最大化させることなど不可能なのです。
3.プロパティマネジメント業務
物件ごとに、その利益を最大化するためにさまざまな施策を行うための業務です。
収益を最大化させるための大きなコアとなる業務になります。
不動産賃貸業は、あくまで投資です。費用対効果(投資効率=利益)が生まれるかどうかを判断していかなければ、相場より大幅に安い家賃で客付けをしてしまったり、不要な修繕なのにも関わらず実施したり、様々な問題を引き起こします。
結果、収益を最大化させることが不可能となるのです。
管理会社を選ぶポイント
収益を最大化させる管理会社を選ぶ際のポイントは、主に以下の4つです。
・リーシング(入居者募集)マネジメントに強みがある
・管理委託費•業務内容が適切かどうか
・建物管理に力を入れているか
・費用対効果を意識した提案をしているか
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
リーシング(入居者募集)マネジメントに強みがある
どの管理会社でも、基本的には家賃の集金代行業務や契約・解約等の入居者管理業務は問題なく実施するでしょう。
管理会社の力量として大きく差が出るのは、空室が発生した場合の入居者募集業務です。
管理会社は空室を埋めるため、SUMO等、ネット上のポータルサイトに物件情報を掲載したり、自社の入居者募集店舗に広告を掲載したりします。
力量がない管理会社は、この入居者募集で躓きます。入居希望者を集めることが出来ず、空室を埋めることが出来ません。
ただ入居者を募集するような管理会社では、収入(家賃)を最大化するどころか空室すら埋めることは出来ません。
各管理会社もそのことをわかっているからこそ、入居率や成約数のアピールを積極的に行います。
オーナーサイドとしても、管理会社の管理物件の入居率が高いか低いかを確認すれば、管理会社のおおよその客付け力を知ることが可能です。
目安ですが、入居率は少なくとも95%以上を維持している管理会社ならある程度の客付力があると判断して良さそうです。
管理会社を選ぶ際には、管理会社の客付力を必ず確認するようにしましょう。
【関連記事】
収入(家賃)を最大化することのできる管理会社の特徴について解説
管理委託費•業務内容が適切かどうか
管理委託費とは、管理会社に管理を委託した場合に支払う報酬です。宅地建物取引業法には、管理委託費の上限が設けられていないため、管理会社ごとに管理委託費の設定は異なります。
相場としては、業務内容により差は出ますが家賃収入の3%~10%に設定されているのが一般的です。
管理委託費が適正価格よりも高い管理会社の場合は、毎月の支出が増えて収益が圧迫されます。勿論安ければ安いほど収益は良くなりますが、だからと言って安い管理会社が必ず良いとも限りません。
相場よりもかなり安い価格を提示することで顧客獲得につなげようとする管理会社もありますが、安さには必ず理由があります。
同じ管理委託費でも業務内容の幅が異なる可能性もあるため、契約前には必ず管理委託契約の内容を確認することが大事です。安い理由として、点検業務が含まれていない、日常清掃が含まれていないといったこともよくあります。
契約してから後悔しない、安定した不動産経営をおこなうためにも、管理委託費が適切かを確認する(目安として3%~10%の間に収まっている)、管理委託費に見合った業務をしっかりおこなっているかを確認することが大切です。
建物管理に力を入れているか
不動産経営は短期間ではなく、基本的には長期間の運用になります。
建物を長期で安定運用するためには、建物を適切な状態で維持することは大変重要になります。
普段から小さな修繕箇所を見つけ対処していかなければ、大規模修繕時等に多額のコストがかかり不動産経営を大きく圧迫します。
客付時も家賃を相場よりも下げなければ成約が難しくなり、家賃収入も低下する恐れがあります。
また、短期での売却を検討されている方にも建物管理状態の維持は大変重要になります。
売却時、建物の管理状況の悪さや家賃減額による利回り悪化等を理由に資産価値が下がってしまう恐れがあるためです。
上記のように、収益を最大化させるためには、リーシングだけではなく適切な建物管理も必須なのです。
ただ、建物管理に力を入れているかどうかの判断は難しく、入居率のように分かりやすい指標があるわけでもないので、管理会社が建物管理としてどのような業務を実施しているか、点検やその結果報告はどのくらいの頻度で行われるのか確認し、問題のないことを確認しておきましょう。
費用対効果を意識した提案をしているか
建物管理をしていく上で意識しなければいけないのが費用対効果になります。
アパート事業は、あくまで「不動産投資」です。費用対効果(投資効率=利益)が生まれるかどうかを判断基準にしなければ、収益を最大化させることは出来ません。
たとえば、家賃の値上げや空室を解消するためにリフォームをする際、物件の立地や周辺競合の状況から見て、明らかにニーズに合っていないリフォーム内容であるような場合、せっかくお金を払ってリフォームしても家賃は上げられないどころか空室すら埋まらない、といった結果になります。
今回のリフォームによって家賃増額はどの程度見込めるのか、その根拠はしっかりとしたものがあるのか、しっかりと確認をする必要があります。
リフォームだけではなく、修繕等の提案時には、その工事を実施する根拠、見込める投資効果を提案できる管理会社なのか、必ず確認するようにしましょう。
管理会社の形態を確認しておこう
管理会社は数多くの業務を手掛けていますが、全ての管理業務をおこなっているかは各管理会社で異なります。管理会社と一口に言っても、どのような業務を手掛けているかによって、大きく以下の2つに分類されます。
・仲介管理会社
・プロパティマネジメント会社
それぞれの管理会社の違いは以下の通りです。
仲介管理会社
仲介管理会社・・・入居者募集や契約などの仲介業務、家賃集金や建物の管理といった通常の管理業務をこなす不動産会社のことです。
自社の仲介店舗で入居者募集等の業務を行うため、仲介手数料や管理料が収益の柱になっていることが特徴です。
基本的な不動産経営に必要な管理業務を行うので、管理の手間がかからずに済みます。しかし、不動産収益の最大化ができるかどうかを判断基準にした提案等は基本的には行なっていません。
そのため、物件自体のポテンシャルが高く管理の手間がかからない、本業等の理由により不動産の収益を最大化させる必要がない場合等に適切といえるでしょう。
プロパティマネジメント会社
プロパティマネジメント会社・・・通常の管理業務に加え、オーナー様の立場に立った資産運用を行い、利益を最大化することを主目的として活動する管理会社のこと。
オーナー様の利益を最大化させることに注力している管理会社で、費用対効果(投資効率=利益)が生まれるかどうかを判断基準にした提案を行います。
基本的な管理業務だけではなく、売却、買い替え等を含めた長期的視野に立ったマネジメントが可能です。
ただし、通常の管理会社より管理手数料が高めに設定されていることが多いです。
そのため、物件のポテンシャルがそこまで高くない場合や収益を最大化させたい方、積極的に不動産賃貸業を行う方に適しています。
本記事の趣旨である、収益を最大化させるためには基本的にはこちらがおすすめです。
サブリース契約も場合によっては選択肢の1つ
サブリース契約・・・不動産会社がオーナーから部屋を借りてそれを転貸する契約方法です。
通常の仲介管理会社の場合には、空室が生じると空室期間の家賃収入は生じません。
一方で、サブリース契約の場合には、入居者の有無に関係なく不動産会社が部屋を借り続けているので必ず家賃収入を得ることができるというメリットがあります。入居者が家賃を滞納しても、不動産会社から家賃収入を得られる状況は変わらないため、空室リスクや家賃滞納リスクを抑えることが可能です。
また、契約主がオーナー様ではなく不動産管理会社になる為、居住者に対しオーナー様の個人情報が明示されない点もメリットと言えます。
しかし、サブリース契約では管理会社に支払う管理委託費よりも手数料を多く支払わなくてはなりません。
管理委託費は家賃収入の3%~10%でしたが、サブリース契約の手数料は約10%〜15%です。入居者を選ぶことができず、サブリース契約を締結した不動産会社が倒産した場合はその後の家賃保証がなくなるというデメリットもあります。
空室リスクや家賃滞納リスクを抑えられるのは大きなメリットになる場合もありますが、収益の最大化を目指したい場合には、サブリース契約よりも管理委託の方がよいでしょう。
4.まとめ
当たり前ですが、不動産投資は投資用物件を購入するだけで安定した家賃収入が得られるわけではありません。
収益を最大化させ、投資用物件の資産価値を維持するためにも、管理業務は非常に重要になります。
しかし、不動産賃貸業以外に本業がある人や不動産投資の知識や経験があまりない人は管理会社に委託した方が効率良く不動産投資を行えます。
これから管理会社を選ぶ人は、この記事に書かれている管理会社を選ぶ際のポイントを理解してから管理会社を選ぶことが大切です。
また、既に管理会社に委託していて現状の管理に満足していない人は、選定を誤っていないか現状を見直してから管理会社の変更に移りましょう。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市を中心に埼玉で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。