不動産投資話に対して、「やめとけ」といわれたことがある方は少なくないでしょう。
近年、将来に向けた資産形成として人気がある不動産投資ですが、なぜ否定的な意見が多いのでしょうか。
今回は、不動産投資はやめとけといわれる理由と実際の失敗例、成功するためのポイントを解説していきます。
1.なぜ不動産投資はやめとけと言われるのか
不動産投資で利益を出している方は一定数いるにも関わらず、「リスクが高いからやめておいたほうがいい」「割に合わない」といったネガティブな意見も目にします。
なぜ、このような意見が多く聞かれるのでしょうか。
理由を解説していきます。
1.1 バブル崩壊を経験しているから
バブル崩壊以前の不動産投資では、土地を購入し売却するときに得られる売却益で儲けるという考え方が主流でした。
バブル時代は、「地価が値下がりすることはない」「土地を所有していれば損をすることはない」という土地神話が信じられていた時代です。
バブル崩壊後、結局地価は大きく値崩れを起こし、土地神話は崩壊することになりますが、その際に不動産投資=リスクの大きい投資としてのイメージがついてしまいました。
現代の不動産投資では、安定した家賃収入を長期的に得るための投資が主流となっており当時のような大きなリスクはないものの、当時のイメージのままの方も多く存在しています。
1.2 専門知識が必要である
不動産投資には、様々な専門知識が必要です。
利回り、ローンや融資、税金など金融関係の知識は勿論、建物の構造や劣化状況判断、宅建業法や建築基準法の建築関係の知識まで、様々な専門的な知識が必要になります。
知識がなくても不動産投資会社や管理会社に依頼をすれば良いという考え方もありますが、ある程度の知識がないと、信頼できる会社の選定も難しくなります。
不動産投資で成功するためには、知識・情報収集が必要不可欠です。
今一度、肝に銘じておく必要があります。
1.3 その他投資方法と比べ取引額が大きいから
不動産投資は、株などの投資方法と比べ一度の投資額が大きく、長期のローンを組む場合が多いため、リスクが大きく見られがちです。
しかし、実は数ある投資の中では不動産投資はミドルリスクの部類に分けられる、リスクの少ない投資方法なのです。
その他のミドルリスク投資の例としては、株式投資や投資信託などが挙げられます。
近年ではREITなどの不動産投資信託と呼ばれる商品もあり、投資額を抑えながら運用することも可能です。
2.不動産投資をやめておいた方が良い人の特徴
不動産投資は、専門的な知識を持ち、長期的な視点で計画的に運用していく必要があります。
ここでは、自分が不動産投資に合っているのかどうか目安になる「不動産投資をやめておいた方が良い人の特徴」を確認していきましょう。
2.1 自己資金の少ない人
大前提として、自己資金の少ない人は不動産投資に向いていません。
近年流行りのワンルームマンション投資や築古空き家投資等、少額の資金からでも始められると謳っている投資商品も多数ありますが、そういった商品ほど慎重に検討をする必要があります。
不動産を所有していると、ローン返済、管理委託費の支払い、修繕費の支出、各種税金の支払いなど様々な支出が発生します。
部屋が利用されている場合は毎月の家賃収入から差し引き支払うことができますが、空室が発生した瞬間この方式は通用しなくなります。
入居者がいない期間も容赦なく経費の支払いは発生するため、自己資金から支払う必要が出てきますが、自己資金がない場合はこの時点で支払いが滞ってしまいます。
また、修繕や設備を新調する際にも自己資金が必要になります。
それなりに資金がないと、運用を続けていくことは難しいと認識しておきましょう。
2.2不動産投資について勉強する意欲が無い人
不動産投資について勉強する意欲がない方も、不動産投資に向いていないといえます。
1.2でも先述したように、金融や税金、各種法令など幅広い知識が必要とされます。
これらの重要な要素に対する理解が不足してしまうと、不動産会社などの情報に依存せざるを得なくなり、結果として信頼性の低い情報や悪質な業者に騙されるリスクが高くなってしまうので注意してください。
2.3 不動産投資=不労所得という考えがある人
不動産投資を不労所得としての認識がある人は、不動産投資に向いていないといえます。
不動産投資には沢山の手間がかかります。
客付け、リフォームや修繕、クレーム対応等、業務は多岐に渡ります。
とても不労で運用することは出来ない投資方式です。
にも関わらず、世の中では不動産投資は不労所得という認識がいまだに根強いです。
これは、不動産は貸しているだけでお金が入ってくるといった間違った認識が生んだ産物です。
不動産投資以外に本業があり、そちらの方が収益のメインで不動産投資で儲ける必要がない方であれば丸投げでも良いかもしれません。
しかし、不動産投資で成功したいと思いこの記事を読んでいる方は、それには当たらないはずです。
不動産投資を不労所得と認識し、業者に丸投げをしているようでは不動産に関わる知識は身につきません。
どんな信頼のおける不動産会社でも、投資家側が無知であれば、お構いなしで投資家の利益よりも自社の利益を優先させる可能性もあります。
また、投資を丸投げにした結果、不動産会にリスクの大きい物件を購入させられることも考えられます。
不動産は不労所得であるという間違った認識を、投資家自身が持っていては成功するはずがないのです。
3.失敗例について
ここでは、実際に失敗してしまった例をご紹介します。
3.1 表面利回りだけで中古マンションを選んでキャッシュフローが悪化
【Aさん 40歳 年収600万円 2500万円の中古マンションを購入】
Aさんは、不動産会社からの紹介により中古マンションを購入。
表面利回りは約8%で家賃収入を得られることが決め手で購入。
しかし、実際には管理費や各種税金等のランニングコストの支払いが重く、キャッシュフローもギリギリ、空室時は自己資金から補填することになり、収支がトータルでマイナスになってしまった。
3.2 投資を丸投げして大損
【Bさん 45歳 年収700万円 相続した土地に5000万円でアパートを建築】
Bさんは親から土地を相続した際、自己所有の土地にアパートを建築しないかと不動産投資会社に勧められる。
サブリース契約をつけても実質利回りが5%ほどあり安定して運用できそうなので建築、運用までを不動産投資会社に丸投げ。
しかし、立地の悪さから空室が続出、サブリースの支払額を下げられてしまい収益性が悪化。
管理も丸投げであった為建物の状態も悪化、大規模修繕工事が必要になるも支払えず。
最終的にサブリース契約を解除され、空室が常態化。
結果、土地含め売却することになりトータルでマイナス収支になってしまった。
4.不動産投資で成功するためのポイント
ここでは、不動産投資を成功させるためのポイントを紹介します。
4.1 収支シュミレーションを綿密に行う
不動産投資で成功するためには、あらゆるリスクや支出を想定して綿密な収支シミュレーションを行うことが大切です。
なぜなら、不動産投資は安定して家賃収入を得られるように見える物件や、資産価値が低下しにくい物件であっても、個々の不動産や投資家の属性、状況などによってリスクは大きく異なるからです。
また、同じ経年数でも建物の管理状況や構造により必要となる修繕費は全く異なります。
しっかりと物件を自分の目で見て、必要な計画修繕をシュミレーションする必要があります。
そしてこのシュミレーションは、決して人任せにせず、自分で行うことが大切です。
間違っても不動産投資会社から提出されるシュミレーションを鵜呑みにすることがないようにして下さい。
不動産投資会社は、物件を買ってもらうのが仕事です。
実際よりも利回りを高く見せるなど、自己にとって都合の良いシュミレーションを提出してくる場合もあります。
不動産投資物件を検討する際は、あらゆるリスクを想定してオリジナルの収支シミュレーションを行い、個別の投資戦略を練っておきましょう。
4.2 不動産投資会社・管理会社は複数社比較する
不動産投資を始める際は、はじめから一社に絞るのではなく複数社で相談してみましょう。
取り扱っている物件、入居率、手数料、サービス品質、スタッフの経験値、物件購入後のアフターサポートなどは、不動産投資会社によってさまざまです。
なお、会社の規模感や実績、取引している金融機関、サポート体制は各社のホームページを確認してみましょう。利用者の口コミを調べて評価をチェックしておくこともおすすめです。
不動産投資会社・不動産管理会社は長く付き合っていくパートナー的な存在になるので、「この担当者なら安心して任せられる」「ぜひこの会社にお願いしたい」と思える信頼性の高い会社を選びましょう。
4.3 本やインターネットで積極的に勉強する
不動産投資で成功するためには、不動産投資の基礎知識や最新の市場動向を把握しておくことも大切なポイントです。
まずは、本やインターネットで不動産投資の基礎を学び、なんとなく運用イメージができるようになってから不動産投資家や不動産会社が開催するセミナーへ参加してみるとよいでしょう。
信頼できる不動産投資会社を見極める判断材料にもなるので、複数社のセミナーへ参加することをおすすめします。
なお、不動産市場は常に新しい情報へ更新されているため、物件購入後も継続的に学び続けることが成功率アップにつながることを覚えておきましょう。
5.まとめ
不動産投資は長期的な安定収益の見込みがある一方で、知識と計画性が欠けると損失のリスクがある投資です。そのため、周囲から「不動産投資はやめとけ」とアドバイスを受けることがあるかもしれません。
たしかに、軽はずみな気持ちで不動産投資を始めてしまうと、予想外の損失や赤字経営に直面する可能性はあります。しかし、きちんと勉強して不動産投資を理解したうえで取り組むことができれば成功率は高くなります。
また、実績が豊富で信頼できる不動産投資会社を選ぶことも、不動産投資で成功するための大切なポイントです。
この記事でご紹介している『不動産投資が向かない人の特徴』や、『成功させるためのポイント』も参考にして、ぜひ一度ご自分に向いている投資方法か検討してみてください。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市を中心に埼玉で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。