ブログ

【オーナー様必見】家賃滞納が起こった時にすべき対応と解決に向けた手順を解説2024.01.18

賃貸経営において、家賃の滞納は大きなリスクです。
家賃収入が無くなるという点では滞納は空室とほぼ同じ状態ですが、家賃の未納が続くなど最悪の場合は裁判沙汰となります。
こうなると、家賃収入が無くなる上、裁判費用等でオーナーに追加で費用負担が発生してしまいます。
さらに督促業務や裁判の準備など、費用だけでなく余計な労力までかかってしまいます。
そういった意味では、家賃滞納は空室以上に厄介な問題です。
さらに、正しい知識がないまま無理に対策しようとすると、問題解決に時間を要するだけでなく、オーナー様自身が法律を犯してしまうリスクがあります。
相手がいくら滞納を続けているからといって、どんなことも許されるわけではありません。
本記事では、所有物件で家賃滞納が発生した際の ・解決までの流れ ・オーナーがやってはいけないこと ・家賃の滞納を未然に防ぐための対策 を解説します。

1.家賃滞納から強制退去までの流れ

家賃の滞納が発生した時、オーナーはどう対応すればよいのでしょうか。もし家賃滞納が発生した場合、一般的には次のような手順で入居者への対応を求めます。

1.1.入居者に電話や口頭、書面で連絡
1.2. 保証会社・連帯保証人に連絡
1.3. 内容証明郵便で催告
1.4. 契約解除を通知
1.5. 明け渡し請求の訴訟
1.6. 強制執行
番外編.裁判以外での退去の流れ

それぞれの手順で行う具体的な対応について、順に解説します。

1.1. 入居者に電話や訪問、書面又は口頭で督促

家賃の滞納が発生したら、まずは入居者に督促を行います。
電話や訪問、督促状の送付によって督促を行います。
滞納といっても、ほとんどはただ支払い忘れや引き落とし口座の残高不足等の軽微なものが多いです。
この際、滞納した理由やいつまでに支払うのかを確認しておきましょう。

1.2. 保証会社・連帯保証人に連絡

入居者が度重なる督促にも応じず、滞納した家賃の支払いに応じる意思を見せない場合には、賃貸契約書上に明記された連帯保証人へ連絡を行います。
連帯保証人は、入居者が家賃を支払わなかった場合、設備を破損した場合などに代理で弁済を行う義務を持ちます。 連帯保証人が貸主に注意し支払いを促すケースや、借主本人が連帯保証人に迷惑がかかることを嫌がるケースも多いため、以後は家賃を滞納しにくくなる可能性もあり、効果的です。
家賃保証会社に加入している場合は、家賃保証会社に連絡します。
家賃保証会社は借主が家賃を滞納した場合に代わりに家賃を支払ってくれるので、賃借人が保証会社に加入していればオーナーにとって非常に安心です。
なお、保証会社に加入しているケースでは、保証会社が家賃を支払った後は保証会社から借主本人に督促を行ってくれます。

1.3. 内容証明郵便で催告

入居者への督促を続けるうちに、支払いがないまま1カ月以上の家賃滞納が続くようなら、内容証明郵便による催告書の送付を行います。
催告書には、以下の内容を明記します。

• 滞納金額
• 支払期日
• 振込先
• 期限までに支払わなければ訴訟を提起する旨

内容証明郵便とは、「誰がどんな内容の文書を、誰にいつ送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便物のことです。
内容証明郵便で督促することで、賃借人にいつ督促を行ったかの証明を残すことができます。
裁判の際には、督促を行った履歴を示すことが重要となります。
内容証明以外での督促状などで督促を行っても、「知らなった」「聞いていなかった」「届いていない」といった言い逃れが出来てしまいます。
以上のことから、法的措置の可能性も踏まえて、必ず内容証明郵便による督促を行いましょう。

1.4.契約解除を通知

  複数回の督促および催告を行ってなお支払いに応じない場合は、期限までに支払いがない場合に契約を解除する旨を記載した「契約解除の予告通知書」を内容証明郵便で送付します。
これは、法的な手続きを進める準備に入ることを意味しており、今後の対処には法的な強制力が伴います。
なお、オーナー側から賃貸借契約の解除をするためには以下の条件を満た
す必要があります。

• 家賃3ヶ月分程度の滞納
• オーナーと入居者の関係性が破綻していること
• 一定の期間を定めて支払いの督促を行なっているのにも関わらず、家賃の支払いがないこと

一般的に3ヶ月分程度の家賃滞納はオーナーと入居者の信頼関係が破綻していると判断され、賃貸借契約の法定解除が認められます。
滞納問題が解決しなかった場合には、法的手段を取らざるを得なくなります。
家賃滞納を解決するために取りうる3つの法的手段を、手続きの労力が少ない順に解説します。

1.5.明け渡し訴訟

滞納者に支払い能力がないケースや一向に家賃を支払う気がないケースでは、最終手段として強制退去してもらうしかありません。
強制退去を求める手続きが明け渡し訴訟です。
家賃の支払いに加え退居まで求めることができますが、滞納者の住居を奪う訴訟であるため、1回で判決が出ることはなく、半年ほどの期間がかかります。また、訴訟費用も50万円程度が相場です。
滞納者を強制退去させられる条件の大まかな目安としては、下記の通りです。

• 長期間の滞納(最低でも3カ月以上)
• 賃借人に支払いの意思がない
• 賃貸人と賃借人の信頼関係が壊れている

滞納機関が1~2カ月程度の場合や、賃借人に支払いの意思がある(分割支払いの意思表示をしているなど)場合などは、強制退去をさせることは難しいです。
明け渡し訴訟は強制退去までの期間に家賃収入を得ることもできないため、オーナーにとっても非常に負担の大きい手段です。
あくまでも家賃滞納を解決するための最終手段ですので、できるだけ他の手段での解決を目指しましょう。
他の手段としては、以下の2つがあります。
これらは、滞納者に支払い能力があることが分かっている場合には有効ですが、滞納者に支払い能力がない場合や強制退去を求める場合は、あまり意味がない点に注意が必要です。

• 支払督促
支払督促とは、裁判所から賃借人に対して送付される督促状です。裁判を起こさずに書面での督促となるため、費用が抑えられるというメリットがあります。
また、裁判所から書面で督促することで、賃借人に対して心理的にプレッシャーを与えられるという効果があります。
支払督促では、最終的に財産の差し押さえまでできる可能性があります。しかし、そもそも支払い能力がないために家賃を滞納してしまっているケースでは、差し押さえをしても債権を回収できないため、支払督促をしても効果はありません。

• 少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを請求する手続きです。
審理は原則1回で、すぐに判決が言い渡されるというメリットがあります。 こちらも支払督促と同様に強制執行による差し押さえをできる可能性がありますが、そもそも支払い能力がない滞納者に対して少額訴訟を行っても意味がありません。

1.6.強制執行

明け渡しの判決が出ているにもかかわらず入居者が部屋を明け渡さない場合には、明け渡しが強制執行されます。
明け渡し請求の判決が確定後、まずは明け渡しの催告が行われます。 これは入居者に対し強制執行が行われる旨を伝えるのとともに、部屋の状態を確認するための手続きです。
裁判所の執行官が直接入居者のもとを訪れ、期日に定められた1カ月以内の日時までに退去しなければ強制的に荷物をすべて撤去することを入居者へ伝え、その旨が記載された公示書が室内に設置されます。
その後、公示書に記載された期日までに退去していなければ、執行官による執行手続きに移行します。
執行手続きで行われるのは、主に入居者の荷物の撤去および鍵の交換です。 入居者は、退去にともない滞納している家賃や鍵の交換費用、退去に伴う業者費用などをすべて支払わなければなりません。
もし現預金が不足し支払えない場合は、給与の差し押さえや換金価値のある家財道具の差押えといった方法で強制的に回収されます。

裁判以外の解決策:任意の明け渡し請求

ここまで家賃滞納から強制退去までの流れを解説しましたが、実は上記の流れはかなりの時間と費用がかかります。
裁判での明け渡し訴訟は半年近く時間がかかり、裁判費用も発生します。 もちろん、その間家賃収入はないままです。
収益の面から考えると、裁判以外の手段で解決し、早期に次の入居者を獲得するのが得策なのです。

ここで活用したいのが「任意の明け渡し請求」です。
任意の明け渡し請求は、「滞納期間の家賃支払いは免除する」などの条件を入居者に提示し、裁判を待たずして退居してもらうよう交渉できます。 明け渡しの強制執行による費用や退去にかかる時間などを考慮すれば、早期に解決できる可能性があるためおすすめの方法です。

任意の明け渡し請求は一見、滞納分の家賃支払いを免除してもらえることで滞納者に有利な条件での解決策のように見えるかと思います。
しかし、滞納者にも退去後に裁判で訴えられる、クレジットカードが利用できなくなる、次の入居先が見つからなくなる等のリスクがあるため、決して滞納者に有利というわけではありません。

2.家賃滞納が発生した時にオーナーがやってはいけないこと

家賃を滞納している入居者に対し、督促業務等でオーナー様が厳しい対応をとることは当たり前のことです。
しかし、いくら相手が家賃滞納しているからといって、何をしても許されるわけではありません。
解決しようと思って行動したことで、かえってオーナー様が法律を犯してしまうリスクもあります。
そこで本章では、下記の通りついついやりがちな「やってはいけない」行動を解説していきます。

2.1.早朝や深夜に電話や訪問をする(概ね20時~翌7時)
2.2. 玄関やポストに督促の張り紙をする 2.2.同日内に何度も電話や訪問をする
2.3.玄関やポストに督促の張り紙をする
2.4.連帯保証人以外に督促をする
2.5.賃借人の学校や職場に連絡する
2.6.無断で入室する
2.7.勝手に物を撤去する
2.8.勝手に鍵を交換する

それぞれ詳しく解説していきます。

2.1.早朝や深夜に電話や訪問をする(概ね20時~翌7時)

オーナーが家賃滞納者に督促をすること自体は正当な行為ですが、督促の方法には十分注意が必要です。脅迫じみた督促を行うと、違法行為とみなされる可能性があります。 代表的なのは、早朝や深夜に入居者に対して電話や訪問で督促をする行為です。深夜0時過ぎまで督促が行われたことに対して、慰謝料請求が認められた判例もあります。 ちなみに貸金業法では、「正当な理由なく、社会通念上不適当と認められる時間帯(夜8時以降翌朝7時まで)に、債務者に電話、FAX、訪問で取り立てる行為」を禁止しています。 オーナー自身で無理に督促をせず、管理会社に対応を任せるのがベストです。自主管理のオーナーが自身で催促する場合も、非常識な時間帯に督促を行うことは避けましょう。

2.2.同日内に何度も電話や訪問をする

前述のケースと同様、脅迫じみた督促とみなされる可能性があります。数時間以内に何度も電話したり、許可なく1日に何度も訪問したりしてはいけません。

2.3.玄関やポストに督促の張り紙をする

周囲の第三者に滞納が分かってしまうような形で督促をする行為も違法行為とみなされます。貸金業法では、「張り紙、立て看板などの方法で債務者の借入に関する事実を、その他債務者の私生活に関する事実を債務者以外の者に明らかにすること」は禁止されています。

2.4.連帯保証人以外に督促をする

たとえ滞納者の親族などの近しい人物でも、連帯保証人以外に督促をしてはいけません。貸金業法では、「債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること」を禁止しています。

2.5.賃借人の学校や職場に連絡する

貸金業法では、正当な理由無く債務者の職場や学校へ連絡・訪問する行為を禁じています。 滞納された家賃の取り立てにおいても同様に、たとえ入居者と連絡がつかない状態が続いていたとしても、職場や学校への連絡・訪問を行うのは避けましょう。 なお、正当な理由と認められる事由には以下のケースがあります。 • 入居者から職場や学校に連絡することの許可を得ている • 入居者が携帯電話などを所持していない • 入居者の連絡先が変更しており、新たな連絡先が不明な場合 上記のように、入居者に連絡をとる手段がないと判断される場合でなければ、入居者の職場や学校への連絡は違法行為とみなされるおそれがあります。

2.6.無断で入室する

賃料を滞納している場合でも、オーナーが無断で入室してはいけません。賃貸借契約が継続している間、部屋の占有権は入居者が有しているため、たとえオーナーであっても入居者に無断で入室できず、最悪の場合住居侵入罪に問われる恐れがあります。

2.7.勝手に物を撤去する

滞納者の部屋内にある物を勝手に捨てたり、持ち出したりするのは絶対にやめましょう。オーナーが所有する物件であっても、そのような行為は「自力救済禁止の原則」に違反します。 「自力救済禁止の原則」とは、権利を実現するために強制力を行使する場合には、原則として裁判などの法的手続きを通じて行わなければならないという原則です。この原則を破ると違法行為となります。 したがって、入居者を退去させるためには ①裁判(明け渡し訴訟)で勝訴し ②退居の命令に従わない場合には明け渡しの強制執行をする という法的手続きを踏む必要があります。 「家賃を払わないなら追い出すのが当然」という気持ちは分かりますが、オーナーでも勝手に物を撤去すると、器物損壊罪や窃盗罪とみなされる可能性もあります。きちんと法的手続きに従って対処しましょう。

2.8.勝手に鍵を交換する

滞納者の部屋の鍵を勝手に取り換える行為も、前述の物を撤去する場合と同様にオーナーによる無断入室や鍵の交換は「自力救済禁止の原則」に該当する行為とみなされる可能性があります。 例え、家賃滞納が起こった際に賃貸人が鍵を交換できるという特約を契約書に記載していても、このような内容の規定は無効になる可能性が高いようです。 事実判例では、「家賃滞納の場合に鍵を交換可能」とする賃貸借契約条項に基づいて鍵を交換し、借主の物件の使用を阻害した事案で、貸主と管理会社に損害賠償が命じられています。

3.家賃滞納を未然に防ぐ方法

これまで解説したように、一度悪質な家賃滞納が発生してしまうと、解決には多大な労力がかかります。 滞納が発生する前に、下記のような対策を行い未然に防ぐことが何より大切です。 3.1.入居審査のチェックを厳しくする 3.2.連帯保証人をつける 3.3.家賃保証会社と契約する 3.4.入金方法を変える 本章では、家賃滞納の発生を未然に防ぐためにオーナーがすべきことを解説します。

3.1. 入居審査のチェックを厳しくする

家賃滞納を未然に防ぐためには、入居者の審査がもっとも重要です。いくら早く空室を埋めたいからといって、支払い能力の低い入居者と契約した場合、家賃滞納のリスクを負うことになります。 入居審査は、以下のポイントを押さえると効果的です。 書類や電話だけでなく、対面・ビデオでの審査を行う 入居者の属性や支払い能力などを見極めるためには、書類や電話だけの審査では限界があります。そのため、対面やオンライン形式できちんと顔が見える形で入居審査を行いましょう。 属性を見極めるだけではなく、入居者とコミュニケーションをとることは信頼関係の構築にもつながります。 入居者は仮に家賃の支払いが遅れそうなときでも、オーナーに相談や連絡がしやすくなるでしょう。 信頼関係を築くことで、何ヶ月も滞納が続くようなトラブルの防止が期待できるのです。 支払い能力をしっかり審査する 貯金や年収、職種(仕事が安定した収入を得られる職業か)などをヒアリングし、家賃を支払う能力があるのか確認しましょう。場合によっては預金残高まで確認できると安心です。

3.2入居者に連帯保証人をつける

入居者自身が家賃を支払えなくなるリスクに備え、連帯保証人をつけるのも有効な滞納防止策です。連帯保証人は賃借人本人と同じ責任を負うため、本人が支払えない場合は連帯保証人に家賃を請求することができます。 特に、外国籍の留学生、支払い能力が低い人、生活保護受給者などには連帯保証人を付けておくと良いでしょう。後述の家賃保証会社に入居者を加入させる場合には、ハイリスクな入居者に関しては保証会社から連帯保証人を付けるよう要求されるケースもあります。 連帯保証人は、安定した収入があり、いざという時に連絡がつく人にしましょう。できれば家族や近しい親族が望ましいです。

3.3.家賃保証会社を付ける

親族が他界しているなどの様々な事情から、連帯保証人をつけることが難しい場合もあります。そのような入居者は、家賃保証会社に加入してもらうと良いでしょう。 家賃保証会社は入居者が家賃を支払えなくなった時、代わりに家賃を立て替えてオーナーに支払います。入居者からの家賃回収も保証会社が行います。保証料を払うのも入居者のため、オーナーにとっては非常にメリットが大きいです。

3.4.家賃を自動引き落としにする・カード支払いにする

第一章で説明した通り、家賃の滞納ほとんどは単純に「入金を忘れていた」という軽微なケースです。 そのような家賃滞納を防ぐには、家賃支払いを自動引き落としにしたり、カード支払いにしたりすることが有効です。 なお、自動引き落としでは口座残額が不足している場合は引き落としができませんが、カード支払いであればその心配はありませんので、よりおすすめです。

4.まとめ

いかがだったでしょうか。 今回は、家賃滞納が起こった際の強制退去までの流れ、オーナーがやってはいけないこと、家賃滞納を未然に防ぐ方法について解説しました。 家賃の滞納は賃貸経営を行う以上、あり得る大きなリスクです。 まずは家賃滞納を未然に防ぐことのできる環境の構築、続いて早急な対応が求められます。 一度滞納が始まってしまうと、家賃の回収は多額の費用と長い時間が必要となり、精神的にも大きな負担がかかることとなります。 家賃滞納を防止するためにも、入居審査の厳格化や家賃保証会社との契約、弁護士への相談などの対策をおすすめします。

この記事を書いた人

富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー

上尾市を中心に埼玉で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。

上尾市を中心に埼玉の不動産管理会社である和紗をもっと詳しく知りたい方はこちら

この記事を書いた人

富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー

上尾市で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。

上尾市の不動産管理会社である和紗をもっと詳しく知りたい方はこちら