目次
1.賃貸管理業務とは
2.賃貸管理業務の2つのタイプについて
3.賃貸管理を依頼するメリット
4.賃貸管理を依頼するデメリット
5.BM会社とPM会社のどちらに委託するべきか
6.契約の解除について
7.まとめ
自主管理から管理会社への委託管理に切り替えを検討されている方や、物件を最近所有、または所有する予定がある方は、管理会社がどのような業務を実施しているのかわからず、お悩みの方も多いと思います。
管理会社の実態を理解しないまま管理委託を開始すると、「自主管理の方が良かった」「あまり便利ではない」と感じてしまう可能性があります。
管理開始後に後悔しない為にも、管理会社の実態はしっかりと理解しておく必要があります。
今回は、管理会社の管理形態とその業務内容について解説していきますので、管理会社選びの参考にしてみてください。
1.賃貸管理業務とは
賃貸管理業務とは、マンションやアパート、倉庫などの収益不動産において、運営上発生するすべての業務のことです。例をあげると、入居者の募集、家賃回収、クレーム対応、敷金精算や賃借人との契約終了後の原状回復工事、建物の清掃・修繕等が賃貸管理業務に含まれます。
賃貸管理は専門性が高く煩雑な業務であることから、オーナー様自身が行わず不動産管理会社に管理業務を依頼するケースが多いです。賃貸管理業務を依頼した場合、どんなメリットを得られるのか、反対に注意すべき点はあるのか、契約する前に知っておく必要があります。
2.賃貸管理業務の2つのタイプについて
賃貸管理業者は、以下の2タイプに分けられます。
・ビルマネジメント業務(BM業務)
・プロパティマネジメント業務(PM業務)
簡単に説明すると、BMは「建物を管理する業務」で、PMは「不動産運営における基本的な業務のほとんどを実施する業務」となります。それぞれ管理対象や役割が違います。では具体的に、どんな内容の仕事を請け負ってくれるのでしょうか。
ビルマネジメント業務(BM業務)
ビルマネジメント業務とは、文字通りビル(建物)そのものを管理する業務で、設備管理や清掃、警備や運転保守などを行います。具体的には以下のような作業を行います。
作業名 業務内容
点検整備 給水ポンプのメンテナンス、エレベーターや貯水槽の水質検査の法定点検など
衛生管理 受水槽タンクの清掃消毒、空調メンテナンス、害虫駆除など
清掃業務 ビル全体の清掃作業。床・外壁・扉・天井・照明・置物・トイレ・エレベーター・窓ガラスなど
防災警備 常駐警備、施設警備や監視カメラの管理運用、防災に関わる緊急時の対応等
運転保守 配電設備や通信機器のメンテナンス。エレベーターや消防設備の管理など
管理代行 一般の来客や業者への対応、荷物発注等の代行業務
ビルマネジメント業務は、単なる清掃行為ではなく、利用者が心地よく生活を送れるように、安全や安心を提供している仕事です。
特に消防設備やエレベーター等の設備は各法規制により法定点検が義務付けられており、違反した場合行政指導等に発展するので注意する必要があります。ビルメンテナンス業者は、このように法律によって定められた方法で適切な維持管理を行う会社です。
プロパティマネジメント業務
プロパティマネジメントとは、オーナーに代わり不動産運営のほとんどの業務を実施する業務になります。
作業名 業務内容
リーシング(客付け)マネジメント 家賃管理、クレーム対応、契約業務など
ビルマネジメント(建物管理) 清掃やメンテナンス、修繕や業者への発注など
テナント対応(集金、更新、その他の窓口)収支管理、投資計画の立案、申告相談など
不動産経営をトータルサポートするのが、プロパティマネジメントの大きな特徴になります。先述したビルマネジメント業務を含めたほぼすべての管理を代行してくれるため、手間を省きたいときや遠隔地の物件管理に便利です。
PMとBMの違い
PMとBMの主な違いは、報酬形態と管理目標です。プロパティマネジメントは、物件の収益があがる分、管理会社が受け取る報酬も増えるという仕組み。
基本的には、物件の月収の3~10%を管理手数料とする場合が多いです。
入居者を積極的に募集し稼働率を上げたり、賃料の値上げ交渉を行なったりと、建物が生み出す利益をあげれば比例して自社の報酬も増えるというわけです。
このことから、PM業者は比較的リーシング(入居者募集)マネジメントに力を入れている業者が多いです。
一方で、ビルマネジメントは、契約で決められた管理範囲に応じた定額の報酬形態です。定額の報酬を対価に、決められた範囲の管理を行います。入居率等、物件の稼働率は自社の報酬にはあまり関係がないため、重要視している会社は少ないです。
管理目標については、プロパティマネジメントは不動産の運用を投資として位置付け、不動産の収益性を追求する傾向があるのに対し、ビルマネジメント業務は設備の管理を通じて施設における利用者の安心・安全を維持することを追求する傾向にあります。
3.賃貸管理を依頼するメリット
次に、賃貸管理を依頼することのメリットからみていきましょう。
賃料回収や管理の手間が省ける
賃貸物件の管理業務はとても多く、専門性も求められるため、1人で全てを実施する場合は多大な時間と労力がかかってきます。
さらに、所有戸数が多いほど、家賃回収や建物管理の負担は増えていきます。
不動産賃貸業以外に本業がある方は、なおさら時間が無いのが現状だと思います。
つまり、不動産管理に時間を割くことが難しい人は、管理委託することで物件管理の手間を省くことができます。つまり、お金で時間を買うことができるということです。
積極的に入居者募集をしてもらえる
入居者がいなければ、そもそも不動産投資は成り立ちません。プロパティマネジメント会社にとって、物件の稼働率が上がることは、管理報酬も上がることと同義になります。だからこそ、管理会社は積極的に物件を紹介してくれます。
ただし、入居付けに関しては、得意不得意がはっきりと分かれます。入居付けが得意な管理会社は、自社のサイトや店舗で入居率をアピールしていることがほとんどですので、確認してみてください。入居付けが得意な管理会社の目安としては、97%前後の入居率を維持していることが目安なります。ぜひ、参考にしてみて下さい。
トラブル対応してもらえる
トラブル対応時に、管理会社が窓口になってくれるので、入居者からの連絡に時間をとられる必要がなくなります。物件のトラブルは24時間365日発生します。自主管理との場合、管理戸数が多いほど相対的にトラブルの問い合わせも増え、負担は増えていきます。
また、設備等が故障した場合でも、管理会社が修繕業者を選定してくれるので、都度業者探しをしなくてもいいという点も、大きなメリットです。
4.賃貸管理を依頼するデメリット
続いて、賃貸管理を依頼するデメリットについても紹介していきます。
費用がかかる
賃貸管理委託には、管理料と仲介手数料が必要です。修繕等の必要が出た場合、管理会社選定の業者へ依頼するため、修繕コストが相場より高くつくこともあります。
自主管理では、自分で業者を選定する為、仲介手数料も掛からない上に相見積もりも実施出来ます。オーナー様に技術があれば、自分で修繕し、コストを大幅にカットすることも可能です。手間は増える分、管理コストは安く済むのです。
支出を控えたいと考えるオーナーにとって、これらの出費は大きな痛手になるのではないでしょうか。
管理業者の選定が必要
一言にプロパティマネジメント会社といっても、会社によって業務内容に大きな違いがあります。入居付けや空室対策を行わないところがあったり、巡回清掃や点検の回数が過剰だったり、逆に少なかったりします。希望する業務内容と管理会社の業務内容が合っているのか、リサーチしてから契約するようにしましょう。
一度契約してしまうと、希望する内容と違うからといって簡単に取り消すことはできません。希望条件との乖離が起きない為にも、管理委託の契約書にサインをする前に、契約内容について理解しておきましょう。
5.BM会社とPM会社のどちらに委託するべきか
ある程度自主管理していくならBM会社がおすすめ
先述したとおり、管理の全てを委託する場合はコストがかかります。入居者管理等は自らで行い、その他建物の専門的な修繕や点検等を部分的に依頼したい場合はBM会社がおすすめです。修繕業者選定もある程度は融通が利くためおすすめです。
業務の多くを委託したいのならPMがおすすめ
先述したとおり、物件の収益性を向上させ、少しでも多くの家賃収益を上げたいのであれば、プロパティマネジメント会社に委託するのがおすすめです。プロパティマネジメント会社は、不動産経営に関わる業務のほとんどを管理会社に委託できるため、本業が別にある方や、自主管理を行ってきたオーナーの負担を、格段に軽減させることができます。
管理の負担を軽減したいだけでなく、収益を最大化させたいのであればプロパティマネジメント会社の中でも業者をさらに慎重に選定する必要があります。 物件の利益を最大化させることは、それだけ難しいのです。オーナー様と同じ目線で、オーナー様と同じ投資家としての立場をもつ管理会社でなければ収益の最大化は達成出来ないのです。
収益を最大化させることのできる管理会社の特徴については下記関連記事でまとめています。参考になりますと幸いです。
関連記事
収入(家賃)を最大化することのできる管理会社の特徴について解説
6.契約の解除について
管理会社の対応によっては、契約締結後に契約を解除したいと思うこともあるかもしれません。委託先を変更したくなったときのことも考え、契約解除の方法も確認しておきましょう。
委託契約の中には、契約内容によっては一度契約したら中々解除できない場合もあります。また、中途解約を阻止するために高額な違約金を請求してくる業者も存在します。
これらのトラブルを回避する為にも、「中途解約は可能か」「違約金は発生するのか」について、しっかり確認しておくことが大切です。
解約については、契約書の「契約の解除」項目に記述がありますので、契約解除できる時期はいつなのか、また違約金は発生するのかについても、しっかり目を通しておきましょう。
さらに詳細な内容については、関連記事にて記載がありますので、ぜひ確認してみてください。
関連記事
【管理会社の変更】契約期間中でも、管理会社の変更はできるのか?押さえておくべきポイントや変更時の手順について解説!
7.まとめ
賃貸管理を委託すると、オーナーの負担を大きく減らすことが出来ます。それだけではなく、優秀な管理会社であれば収益を最大化させることも可能です。
管理会社にも種類がありますが、自分である程度の不動産管理がしたいのであればBM会社、不動産管理のほぼ全てを委任したいのであればPM会社として考えると良さそうです。
ただし、一言にプロパティマネジメント会社といっても業務内容は様々なので、契約するときは依頼内容と委託業務内容が一致しているか、しっかりと確認しておきましょう。一度契約をしてしまうと、簡単に解除することはできません。
ここまで紹介してきたことを参考に、慎重に契約を進めることが大切です。資産運用を楽にするためにも、賃貸管理の委託を前向きに検討してみてください。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市を中心に埼玉で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。