アパート・マンションの築年数が経ち入居率が落ちてきたら、適切な空室対策を素早く行う事が大切です。
空室期間が長引くとキャッシュフローが悪化し、ローン返済やメンテナンス費用の積立が滞ってしまいます。
今回は、順を追って空室対策で重要なポイントを段階的に解説していきます。
1.入居者募集時のポイント
店舗で募集してもらう段階では、できるかぎり多くの仲介店舗で自分の物件を紹介し、多くの人に自分の物件が募集されている事を知ってもらう必要があります。
その理由は、現在、賃貸仲介店舗は供給過多になっており、街に何十社、何百社と空室の募集をしている仲介会社があるため、限られた仲介店舗だけではなかなか空室が埋まらなくなってきているからです。
また、物件自体も多くなり、空室の募集物件も増えています。
空室の物件が増えていると言うことは、自分の募集物件もその中に埋もれて見つかりにくくなっていると言うことが言えます。
だからこそ、募集の間口を幅広く持ち、なるべく多くの人に認知してもらう、あるいは入居者がどこの仲介店舗にいっても自分の物件が紹介されるようにする必要があるのです。
店舗で募集してもらう段階での対策法は以下の2つです。
1.1 客付け力のある仲介会社に変える
そもそも客付けに力を入れていない仲介会社が窓口では、空室を埋めることは難しいです。
重要なのは、募集間口を可能な限り広げ、物件をたくさんの人に見てもらうこと。
どんなに優秀な物件でも、そもそも沢山の人の目に触れられる機会がなければ物件は認知されにくくなり、従って空室も埋めにくくなります。
だからこそ、募集間口を広く持ち、決して物件の囲い込みをしない仲介会社に客付けを依頼しなければなりません。
この前提があって、初めてその後の空室対策が意味を持つのです。
客付け力の高い仲介会社の特徴については、下記記事で説明していますので是非参考にしてみて下さい。
収入(家賃)を最大化することのできる管理会社の特徴について解説
1.2 外国人の入居者も受け入れ可能であることを周知する
外国人の入居者を受け入れることで外国人専門の賃貸仲介店舗にも募集を依頼することができ、さらに募集間口を広げることにつながります。
在日外国人の数は年々増加しており、外国人の入居者を入れることだけでも圧倒的に入居者の母数が増やすことが可能となります。
【補足】外国人入居者の受け入れで問題を起こさない方法
外国人入居者の受け入れは、メリットがある一方で注意も必要です。
例えば、
・家賃を滞納したまま国外逃亡
・一人で入居する契約になっているのに、複数人で部屋を使っている
・日本の生活様式(ゴミ出しルールや土足禁止など)
を理解しておらず、他の入居者に迷惑をかけている といったケースがあります。
せっかく入居が決まっても、家賃収入が入ってこなかったり、修繕費が余分にかかってしまったりしては元も子もありません。
外国人入居者をうまく受け入れるためには、下記のような対策が有効です。
契約前には、必ず確認することをお勧めします。
・日本語でコミュニケーションがとれるかどうか確認する
・日本の生活様式を理解しているか確認する(室内では靴を脱ぐことやゴミ出しのルールなど)
・夜逃げなどのケースも考慮し、保証会社には必ず入る
・実際に会うなどして、入居前に問題がないか確認する
2.入居者に選ばれるための対策
間口を広めて物件が沢山の人の目に触れるようになったら、次は入居者に選ばれるための対策が必要です。
入居者に選ばれるための募集内容、物件作りを目指しましょう。
2.1セキュリティや設備の見直し
セキュリティや設備が不十分だと、入居希望者の不安要素になります。
とくに女性入居者にとってセキュリティ面は重要なため、セキュリティを見直すことは空室対策に役立ちます。
セキュリティ対策として効果的なのは以下の方法です。
・防犯カメラの設置
・モニター付きインターフォンの設置
・センサーライトの設置
・アパート入り口に簡易的なオートロックの設置
・防犯性が高いディンプルキーの採用
防犯カメラやモニター付きインターフォンが設置されている物件だと入居者に安心感を与えることできます。
また、ディンプルキーはピッキングされにくく、複製が難しいことから防犯対策として効果的です。
セキュリティ面に多くの費用をかけられない場合は、センサーライトの設置だけでも入居希望者に与える印象は変わるでしょう。
また、セキュリティ以外にもフリーWi-Fiや宅配ボックスなど、需要の高い設備の導入も空室対策に効果的です。
2.2物件のニーズに合ったリフォーム・リノベーション
一般的に物件は古くなるほど、設備の劣化やデザインの陳腐化により収益性が落ちます。
反対に、適切に内装や外装のリフォーム・リノベーションを行えば、新築時と大きく変わらない収益性を保つことも可能になります。
リフォーム・リノベーションをする際は、必ず投資効果を意識し実行しましょう。
投資効果を考えない施工は、せっかく高い金額を出してリフォームしたのにも関わらず、エリアニーズに合わず家賃はほとんど上げられず結局赤字、なんてことにもなりかねません。
物件の所在する地域の市場を読みニーズに合わせ、捻出できそうな予算や回収期間をシミュレーションし、実行するのが良いでしょう。
投資効果の高いリフォーム・リノベーションの詳細については下記記事にて解説しています。
【賃貸物件の収益を最大化させるなら】投資効果を意識したリフォーム・リノベーションとは
2.3初期費用を抑える(敷金・礼金の減額・廃止、フリーレント期間の設定)
新規の入居者さんにとって、初期費用の多くを占める敷金や礼金は、契約を決める際の障害になりがちです。
また、フリーレント期間を設けることも初期費用の減額につながり、お得感が出ます。
これらの対策はオーナー様にとっては入居時の収入が減ることにつながりますが、一時的な敷金や礼金を優先するより、空室を埋めることを優先しましょう。
2.4 ゴミ出しを24時間OKにする
ゴミを出す曜日が決まっていると、それまで部屋にゴミを溜めておかなければいけません。さらに時間も決められていれば、その時間に起きられなかった……というケースも。
生活スタイルが多様化している現代で、ゴミ出しの時間が決められているのは不便だと感じる人も多いのではないでしょうか。
時間や曜日に左右されずゴミを出せるかどうかを重要視する人は多く、多少費用をかけても導入したい設備といえます。
24時間ゴミ出しをOKにするには、ゴミ収集容器の設置が必要。
自治体によっては設置の許可を必要とする場合があるので、必ず物件管轄の自治体に確認しましょう。
2.5 競合物件にはない独自サービスの提供
近隣の競合物件と比較し、独自のサービスを提供することを意識しましょう。
2.1で説明した設備の更新は、もはや今の時代には当たり前に行われている施作です。
それとは別に、付加価値サービスを提供できると、より競争力が上がります。
具体的な例で言うと、以下のようなものがあります。
【例】「契約時、自転車無料貸与・プレゼント」
例えば、駅から離れた物件の場合に効果的なのが「契約時、自転車無料貸与・プレゼント」です。
自転車自体も安いものであれば1万円ほどで購入でき、低予算で大きな成果を上げてくれます。 実際、弊社管理物件でもこの施策により、駅から遠い物件でも問題なく客付けができています。 このように、あまりない独自の施作を追加することによりさらに競争力を上げることができます。
3.入居者に長く住んでもらうための施作(テナントリテンション)
最後は、入居者に長く住んでもらうための施策になります。
これらの施作は一般的に「テナントリテンション」と呼ばれ、あまり注目されていませんが実は収益を最大化する上でかなり重要なポイントになります。
なぜこの施策が重要になるかというと、収益不動産は一般的に、長く契約し続けてもらえるとその分投資効果が上がるという性質があるからです。
3.1なぜテナントリテンションを行うと収益が最大化できるのか
大きな理由は、空室発生による損失が発生しなくなり、収益性が上がるからです。
入居者が退去すると、様々な損失が発生します。
①クロス張り替え等の原状回復費(故意汚損、破損等、賃貸人の責めに帰すものを除く)
②クリーニング費
③古い設備等の交換対応費
④入居者募集の際に発生する広告費(フリーレント等家賃損失含む)
⑤空室期間中の家賃損失や家賃の減額
上記の損失発生を抑える為、テナントリテンションによる空室発生の防止が重要になるのです。 テナントリテンションの詳細な内容については、以下の記事で説明しています。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、収益を最大化させる為に必要な空室対策について解説しました。
もしお持ちの物件に有効な空室対策がわからない等のお悩みがありましたら、ぜひ一度弊社にご相談下さい。
最適な対策をご提案いたします。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市を中心に埼玉で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。
富永 和洋|株式会社和紗 代表取締役
所有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
上尾市で不動産管理事業を行っています。仲介業を行っていないからこそ建物管理の本質であるビルマネジメントにも力を入れており、本当の意味でオーナー様と同じ目線に立ち収益の最大化を実現させます。